2025年10月にマイナーチェンジを迎えた新型クロスビー(型式:MND1S)では、ついに新開発のZ12E型 1.2Lエンジンが採用されました。
旧型(MN71S)が搭載していた1.0L直噴ターボ「K10C」から自然吸気のZ12Eへ変更されたことで、走りのキャラクター・燃費・静粛性すべてが見直されています。
この記事では、Z12Eエンジンの性能と特徴、そして旧型1.0Lターボとの違いをわかりやすく解説します。
目次
まず知っておきたい:MN71S(旧型)とMND1S(新型)の立ち位置

クロスビーにはこれまで「MN71S」と「MND1S」という2つの型式が存在します。
どちらも同じ1.0〜1.2LクラスのコンパクトSUVですが、搭載エンジンとトランスミッションが大きく異なります。
MN71S(旧型)は、2017年の登場時から1.0L直噴ターボ「K10C」エンジンを採用し、6速ATを組み合わせていました。
ターボによる軽快な加速と、1,000ccとは思えないトルク感が特徴で、スズキらしい“走って楽しい”モデルでした。
一方、MND1S(新型)は2025年10月の改良で新登場。
エンジンを新世代の「Z12E型 1.2L自然吸気」へ刷新し、トランスミッションもCVTに変更。
加えて、安全装備やコネクティッド機能を全面的に強化しています。
- MN71S(2017–2025):1.0L直噴ターボ(K10C)+6AT。軽快な加速フィールが持ち味。
- MND1S(2025–):Z12E 1.2L NA+CVT。静粛性・燃費・運転支援を強化。
ボディサイズは3,760×1,670×1,705mm、最小回転半径4.7m、最低地上高180mmといった取り回しの基礎数値はキープされています。
Z12Eエンジンとは?基本スペックと技術概要

Z12Eはスズキが開発した直列3気筒 1.2L自然吸気エンジンで、すでにスイフトやソリオなどにも搭載されています。
軽量化と熱効率の最適化を図り、燃焼効率を高めた新世代ユニットです。
- 型式:Z12E
- 排気量:1,197cc
- 最高出力:67kW(91PS)/6,000rpm
- 最大トルク:118N・m/4,400rpm
- トランスミッション:CVT
- モーター出力(マイルドハイブリッド):2.3kW(3.1PS)
スズキ独自のマイルドハイブリッド(ISG=モーターアシスト機構)を搭載しており、減速時のエネルギー回生と発進時のモーターアシストで低燃費化を実現しています。
旧型1.0Lターボ(K10C)との違い

旧型クロスビー(MN71S)は、1.0L直噴ターボ(K10C型)+6速ATを採用していました。
新型では自然吸気+CVTという組み合わせになり、ドライバビリティが大きく変化しています。
項目 | 旧型 MN71S(K10Cターボ) | 新型 MND1S(Z12E NA) |
---|---|---|
排気量 | 996cc | 1,197cc |
吸気方式 | ターボ | 自然吸気 |
最高出力 | 73kW(99PS) | 67kW(91PS) |
トランスミッション | 6AT | CVT |
燃費(WLTC) | 18.2km/L(旧) | 22.8km/L(新) |
特徴 | 加速重視・ターボフィール | 滑らか・静粛・低燃費 |
ターボ特有の加速力は控えめになったものの、CVTとの組み合わせで街乗りの滑らかさと静粛性が格段に向上しています。
燃費性能と走行フィールの進化

新型クロスビー(MND1S)の燃費は、WLTCモードで22.8km/L(2WD)/21.0km/L(4WD)。
従来比でおよそ25%の向上となっており、普段使いでもガソリンスタンドに行く回数が減る実感を得られるでしょう。
また、3気筒ながら振動抑制技術が向上し、アイドリング時や低速走行時の静粛性が明らかに高まりました。
CVTのスムーズな変速制御と組み合わさり、ストップ&ゴーの多い街中でも快適です。
Z12Eエンジンのメリットとデメリット
Z12Eエンジンは、スズキが小型車向けに開発した直列3気筒の1.2L自然吸気エンジンです。
軽量化と燃焼効率の向上を重視して設計されており、クロスビー(MND1S)ではマイルドハイブリッドシステムと組み合わせることで、日常走行での燃費と静粛性を両立しています。
ターボを廃止し、自然吸気+CVTの構成を採用したことで、より安定した走りとメンテナンス性の良さが特徴です。
メリット
Z12Eは「扱いやすく静かなSUV」を目指して最適化されたエンジンです。
燃費や信頼性に重点が置かれており、従来の1.0Lターボよりもトータルバランスが向上しています。
- 燃費性能の大幅向上(22.8km/L)
- 振動・騒音の低減で快適性アップ
- モーターアシストによる滑らかな発進
- メンテナンスコストが低く長期的に安心
特に発進から中速域までの静粛性と滑らかさが際立っており、街乗りや通勤用途ではより快適なドライブフィールが得られます。
また、ターボに比べて部品点数が少なく、長期使用でもトラブルが起こりにくい点も実用上のメリットです。
デメリット
一方で、ターボを搭載していた旧型(MN71S)と比較すると、加速特性やスポーティさの面では穏やかな印象があります。
高速道路での追い越しや坂道の加速時に「もう少し力がほしい」と感じる場面もあります。
- ターボ特有のパンチある加速感はやや控えめ
- 高速合流時など、踏み込み時の反応は穏やか
全体的には「トルクフルな走り」よりも「扱いやすく静かな走り」へとシフトした印象です。
採用グレードとおすすめの選び方
Z12Eエンジンは、新型クロスビー全グレード(HYBRID MX/HYBRID MZ)に標準搭載されています。
運転支援装備の違いで選ぶなら、HYBRID MZがより快適でおすすめです。
- HYBRID MX:全車速ACC/HBA(ハイビームアシスト)搭載
- HYBRID MZ:ACC停止保持/アダプティブハイビーム/EPB+ホールド機能
価格差は約20万円ですが、安全性と快適性を求めるならMZの方が満足度は高いでしょう。
まとめ:Z12Eでクロスビーは“静かで上質なSUV”に進化

1.0Lターボ時代の「軽快さ」から一転、新型クロスビーは“しなやかで上質な日常SUV”へと生まれ変わりました。
Z12Eエンジンの採用により、燃費・静粛性・走行安定性が大きく進化し、日常使いでの満足度が高まっています。
- 旧型:MN71S(1.0Lターボ+6AT)=力強い加速と軽快さ
- 新型:MND1S(1.2L NA+CVT)=静粛・滑らか・低燃費
「街乗り中心」「燃費重視」「長く乗りたい」という方には、新型のZ12E搭載クロスビーがベストバランスの選択です。